時間管理のマトリックスとは、スティーブン・R・コヴィーが自著『7つの習慣』で提唱した成功の秘訣の1つです。
コヴィー博士は、成功のためには時間の使い方が何よりも重要であると説きます。
具体的には、普段の活動を「緊急度」と「重要度」を軸にして4つに分類し、優先順位をつけて処理するように説明しています。
時間管理のマトリックス
- 緊急度が高くて、重要度も高いこと
- 緊急度は低いが、重要度が高いこと
- 緊急度は高いが、重要度は低いこと
- 緊急度が低くて、重要度も低いこと
↑この中で、2つ目の「緊急度は低いが、重要度が高いこと」を第二領域と呼び、ここにエネルギーを注力することが人生を変えることにつながると考えます。
それぞれの領域の意味について、順番に見ていきましょう。
目次
第一領域・第二領域・第三領域・第四領域の意味
例えば、重要な得意先から急ぎで頼まれた仕事などは、「緊急度が高くて、重要度も高いこと」なので第一領域に該当します。
第一領域に属する仕事は、日常的には最優先で処理せざるを得ません。第一領域の仕事は、あなたのいま現在の社会での役割ともいえます。
一方で、英語を話せるようになるために英会話学校に通うとか、将来的な仕事につながる人脈作りのために異業種交流会に参加するとかいったことは、「緊急度は低いが、重要度が高いこと」です。これが第二領域にあたる活動です。
第三領域は期限がある書類の提出物や、重要ではない顧客からかかってきた電話などが該当します。第四領域はテレビを見たりゲームをしたりしている時間が該当するでしょう。
普段から第二領域に属する活動を意識的に行うことによって、あなたの第一領域に属する仕事の内容はしだいに変化していきます。これが重要です。
具体的には、第三領域や第四領域のために使っている時間を意識的に減らし、第二領域に振り分けていく必要があります。
第二領域の活動が、あなたの現状を変える
あなたの現在にとって、もっとも重要なことは第一領域に属する仕事を高いパフォーマンスでこなすことです。
しかし、第一領域に属する仕事してどのようなものが与えられるか?は、あなたが第二領域でどのような活動をしているのかによって変化していくのです。
例えば、あなたの現在の仕事は一般的な事務の仕事で、日本国内のお客さんの営業対応をすることだったとします(第一領域の仕事)
「現状を変えたい」と考えたあなたは、普段の行動を見直します。
意識的に優先度が低い仕事は部下や後輩に任せるようにし(第三領域の削減)、テレビを見たりゲームを見たりしている時間は極力減らします(第四領域の削減)
そして、あいた時間で英会話に通って英語をマスターできたとします(第二領域を増やす)
そして、英語力を生かせる職場に転職したとしましょう。
このようにして状況が変われば、英語が話せるあなたは海外の重要な顧客の営業担当者として重要な職務を任されるかもしれません。
つまり、あなたの第一領域の仕事は変化することになるのです。
このように、コヴィー博士は、人生を成功に導くためには、第三領域と第四領域に使っている時間を、可能な限り第二領域に振り分けることが重要であると説明します。
第2の習慣「終わりから始める」
第3の習慣である時間管理のマトリックスをきちんと活かすにはまず第2の習慣を知っておく必要があります。
第2の習慣は「理想の終わりを思い描くこと」です。
自分の人生の最後のイメージをできるだけ具体的に思い浮かべてみましょう。
そこに自分が到達するまでに必要な活動こそ「重要」な活動なのです。
重要なタスクをこなす「第2領域」を増やす理由
時間管理のマトリックスは簡単に言うと物事を「重要かそうでないか」と「緊急化そうでないか」に分けます。
そうすると以下のようにわけられますね。
1.重要で緊急なこと
2.重要だが緊急ではないこと
3.緊急だが重要ではないこと
4.緊急でも重要でもないこと
このうち、2番の「重要だが緊急ではないこと」を第2領域と言います。
そしてこの第2領域に使う時間を増やすことが大事だとコヴィー博士は説いています。
なぜならこの面倒で後回しにしがちな第2領域は放っておくと締め切りが来て第1領域の「重要で緊急なこと」になってしまうからです。
「重要で緊急なこと」には時間がかかって、予定も圧迫してしまいますよね。
第2領域をきちんとこなし、未来の第1領域を減らすことが時間の節約とよりよい人生につながると考えられたのです。
第2領域への時間配分を増やすための手順
第3の習慣だけ読んだ人は「タスクを振り分け」がちですが、それよりもより良い方法があります。
それは「重要なことをタスクにする」ことです。
実は向こうから勝手にやってくるイベントの大体は重要ではないことです。
なので「上から降ってくる仕事や行事をタスク分けしよう」とすると大半が「重要ではない」ことになります。
では何が重要なことなのでしょうか?それは逆に「向こうからやってこないこと」です。
自分でつかみ取らないといけないもの、自分の理想の人生の終わりに必要なもの、それが第2領域です。
なかなか思いつきませんよね。
でもそれこそが大事なポイントなのです。
「自分がどうしたいのか」はっきりさせるところが、実はこの時間管理のマトリックスのとても大切な前提なのです。
具体的な仕事の優先順位の決め方
上では「重要なことをタスクにするべき」で「タスクを振り分けようとするべきではない」と言いました。
そうは言っても仕事は向こうからやってきてこなさなくてはならないし、時間管理のマトリックスでなんとかならないの?という気持ちにもなりますよね。
実はある話だと、とある店で新しく赴任した店長が店員の不必要な習慣をなくし必要なコミュニケーションをとる時間を増やしたところ、営業成績がとても良くなったというデータがあるそうです。
もしあなたが向こうからくるタスク、つまり仕事を処理しなければならない立場だとすると、結局は全部処理しなければいけないと予想されます。
そうなると残念ですが「面倒な仕事も早めにやっておきましょう」くらいしか言えることはありません。
ですがもしあなたが「部下にタスクを振り分ける立場」なら時間管理のマトリックスを使うことができます。
重要だと誰もが思っているのにやっていないこと、無駄だと誰もが思っているのに続けている習慣。
まずはそういうものがないかチェックしてみましょう。
また繰り返しになりますが「何が重要か」を見極めることこそ、この時間管理のマトリックスの最も大事なポイントです。
自分たちの仕事において「重要なことは何か?」
そのビジョンをできるだけ明瞭に持つことが、あなたと仲間の時間管理を優れたものにして、良い仕事をすることが可能にされるのです。