- 退職は2ヶ月前までに伝えないと非常識?
- できれば今すぐ辞めたい…。これって無理?
- 退職願いを受け取ってくれない場合の対処法は?

今の会社を辞めようと思ってます。
できれば今すぐにでも退職したいのですが、
ネットで調べると「退職は退職したい日の2ヶ月前までにいわないとダメ」という説明が多いです。
これってどういうルールなんですか?
会社を辞める時のルールについては民法627条という法律があります。
この法律によると「雇用契約は退職意思を伝えた日から2週間経過で自動的に終了する」というルールになっています。

ただし、これは「最低限のルール」ですから、
会社側と合意できるならこの法律と異なる辞め方をしても問題ありません。
また、相手がブラック企業である場合には2週間経たずに辞める方法もありますよ。
この記事では、少しでも早く会社を辞めてしまいたい!という方向けに、最短で会社を辞める方法を解説します。
ぜひ参考にしてみてください。
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この記事の目次
法律では「2週間前の退職予告でOK」がルール
↓まずは基本的な法律のルールから理解しておきましょう。

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。
この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
「当事者が雇用の期間を定めなかったとき」というのは、かんたんに言えば正社員ということです。
正社員ではない契約社員として働く場合には、
「2021年1月〜6月の間の契約」といったように期間の定めがされていることが多いですが、
こういう期間の定めが設定されていないのが「期間の定めのない雇用」です。
そして、こういう「期間の定めのない雇用契約」においては「社員はやめたいときにはいつでもやめていい」という扱いになっているのです。
具体的には、社員が一方的に「やめたい」と意思表示してから、
2週間が経過したら自動的に雇用契約が終了する仕組みになっています。
一部例外として「年俸制」で採用された場合には「3ヶ月前に退職予告」のルールになっていますが、
ほとんどの人は月給制で働いていると思いますので、当てはまるケースは少数派でしょう。

六箇月以上の期間によって報酬を定めた場合には、前項の解約の申入れは、三箇月前にしなければならない。
>>「自分で会社に退職を伝える勇気がでない…」という人はこちらがおすすめ
就業規則では「1ヶ月〜3ヶ月前までに予告」となっていることが多い
上では民法のルールを紹介しましたが、これはあくまでも「大原則」です。
ほとんどの会社では、社員の退職については就業規則という独自のルールを作っています。
就業規則は社員であれば誰でも確認できますので、
人事部などに問い合わせると見せてくれますよ。

就業規則では「退職する場合は、1ヶ月〜3ヶ月前までに退職予告すること」といったように、
民法とは異なるルールになっていることが多いですね。
↓以下、就業規則と民法のルールが異なる場合にはどうしたらいいのか?の対処法を説明します。
民法と就業規則のどっちが優先される?
問題は、民法と会社の就業規則がくいちがう場合に、どちらが優先されるのか?です。
この点について、裁判例では「会社の就業規則が優先」という判断をしていることが多いです。
円満退職したいのであれば、就業規則にしたがった形で退職手続きを完了するのが良いでしょう。
ただし、これは「就業規則の内容が常識的なものである場合」に限って適用される判断方法で、
例えば「退職願は退職したい日の1年前に出さないといけない」とか、
「社長の許可がない限り退職はできない」とかいった非常識な就業規則のルールは無効になります。
(法律用語では「公序良俗に反するので無効」といった言い方をします)
しかし「どうしても今すぐ会社をやめたい」という人もいらっしゃるでしょう。
以下では「今すぐ会社を辞める方法」を解説しますので、参考にしてみてください。

会社をどうしても今すぐやめたい場合の対処法
↓会社をどうしても今すぐやめて、できるだけもう会社に行きたくないなら、以下のような方法があります。
- 退職願いを「内容証明郵便」で出す
- その後は有給消化や体調不良を理由に会社を休む
- 退職願いを出した2週間後に自動的に雇用契約終了
すでにみたように、日本の法律では「会社を辞める・辞めないは社員の自由」という扱いになっています。
(問題になるのは「いつやめるか?」の期間の問題だけです)
会社側が社員の退職を阻止する方法としては「退職願いを受理しない」というやり方が多いです。
退職願いを正式に受理した扱いにならない限り、
法律上は「まだ退職予告をしていない状態」になりますから、いつまで経っても雇用契約は終了しません。
この状況を打開するためには、
「会社に退職願いを強制的に受け取らせる」かたちにすればいいのです。
それが上の「1.退職願いを内容証明郵便で出す」方法です。

内容証明郵便とは?
内容証明郵便というのは、郵便局が「この日に、この人からこの人に対して通知が出された」という内容を証明してくれるサービスです。
内容証明とは
いつ、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかということを、差出人が作成した謄本によって当社が証明する制度です。
内容証明を使えば「公的な期間証明のある書類」として扱われますから、会社側に無理やりにでも退職願いを受理させることが可能です。
内容証明によって退職願が受理されてしまえば、退職予告が完了した形になりますので、
そこから2週間(または就業規則に記載された日数)が経過した日に、雇用契約は自動的に終了することになります。
有給消化は労働者の権利
内容証明郵便を出した後にできるだけ会社に行きたくないなら、有給休暇を取得すれば問題ありません。
有給休暇は「会社に許可してもらってもらうもの」ではなく「労働者側が指定した日に、理由を問わず自由に取れる」休暇です。
(年次有給休暇)
使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、
継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。
ただし、有給休暇の取得は「取得の前日まで」に会社側に通知するのがルールですので、
当日の朝にいうのではなく、休みを取る日の前日までにあらかじめ伝えないといけません。

また、もし有給が残っていないなら、体調不良で欠勤してしまいましょう。
もちろん給料は減りますが、それに同意するなら会社側に無理やり出勤させる方法は何もありません。
なお、この間に会社からくる電話連絡などにはきちんと対応するようにしましょう。
連絡を無視しているといわゆる「ばっくれた状態」になってしまいますので、万が一会社ともめた場合に不利な扱いになってしまいます。
もし会社が「損害賠償請求する」といってきたら?
2週間前に退職予告し、その通りに退職した後になってから、
会社が「引継ぎが出来ておらず顧客とトラブルが発生した」などの理由で損害賠償を求めてきた場合はどうでしょうか。
結論から言うと、こうした損害賠償請求に応じる義務はあなたにはありません。
むしろ、会社が損害賠償を求めてきた場合、労働基準監督署に通報すると会社に指導が入る可能性があります。
また、弁護士に相談すれば会社に対して損害賠償を請求できる可能性すらあります。
法律上、仕事を辞めるのは「社員の側からいつでも自由にできること」という扱いになっています。
あなたが合法的に仕事を辞めたことによって会社にもし損害が生じたとしても、あなたが責任を問われるようなことは基本的にありません。
ただし、以下のような「極端な仕事の怠慢」をしている場合は、
↓会社による損害賠償請求が認められる可能性がありますのでご注意ください。

極端なケース
- 終業時間中に突然仕事を放棄したような場合
- 他の従業員に転職の勧誘や引き抜きを行った場合
- 会社の備品を破損・紛失した場合
- 会社の経費を使用してセミナーや資格スクールに通った後、すぐに退職した場合
有給は何日間とれる?
取得できる有給休暇の日数は「その会社での勤続期間」によって決まります。
↓まずは入社してから6ヶ月以上勤務した場合に10日間付与され、それ以降は1年ごとに1日増えていくといった具合です。
勤続期間 | 取得できる有給日数(年間) |
---|---|
0年6ヶ月以上 | 10日 |
1年6ヶ月以上 | 11日 |
2年6ヶ月以上 | 12日 |
3年6ヶ月以上 | 14日 |
4年6ヶ月以上 | 16日 |
5年6ヶ月以上 | 18日 |
6年6ヶ月以上 | 20日 |
もちろん、退職予告をした後も有給の取得は可能です。
例えば、4月1日に入社した人であれば、
入社して6ヶ月が経過する「9月30日」の時点で10日の有給が付与されます。
この人が10月31日に退職する場合、2週間前の「10月15日」に退職予告をすればOKです。
有給を1日も使っていなかったとすると、10月16日〜10月31日の間に10日間の有給消化が可能になります。
有給消化を拒否されたら?
有給休暇の取得は労働基準法に定められている労働者の権利ですので、退職間際でも会社はこれを拒否することはできません。
しかし、現実問題として「退職直前の有給取得なんて認めない」と会社がいってくることも考えられるでしょう。

↓この場合の対処法としては以下の3つが考えられます。
- 直属の上司ではなく、本社の人事部などに相談してみる
- 労働基準監督署に相談してみる
- 「退職代行」の利用を検討する
↓それぞれの対処法について、順番に解説していきます。
直属の上司ではなく、本社の人事部などに相談してみる
例えば直属の上司が認めない場合、さらに上の上司や総務部に相談するなど相手を変えて交渉してみましょう。
あなたの直属の上司は、あなたが退職すると自分自身の人事評価が下がりますから、
あなたが退職意思を表示していることを人事部に秘密にしている可能性があります。

本社の人事部はさすがに労働法に関するルールも熟知しています。
法律に従った退職予告を無視するようなことはないはずです。
労働基準監督署に相談してみる
「退職したいのにさせてくれない。退職願いを受理してくれない」という場合、労働基準監督署に相談してみるのもひとつの手です。
労働基準監督署というのはよほどのことがないと直接会社に連絡をとるなどの対処はしてくれないのですが、
あなた自身が「労働基準監督署に相談した上で言っていることなんですよ」ということを会社側に伝え、プレッシャーをかける効果は期待できます。

「会社が有給取得を認めないが、これは違法ではないのか」と相談すると、
おそらく労働基準監督署の監督官は「有給取得を認めないことは違法であり、会社は取得を認める必要がある」とコメントするはずです。
こうした相談内容とコメント内容を上司に伝えながら再度交渉してみましょう。